ふりかえり & ガロア祭で大賞取った話
今回はガロア祭とかいうやつで大賞取ったワ~って自慢がしたいんですけれども, その前にこのブログでかくのが久しぶりだからなんか無沙汰をわびるごとく振り返りでも書こうと思います。
1回生のうちに手をつけた数学と言えば, 1回生の微積線型, 位相空間論, ガロア理論までの代数学, 複素函数論とかでしょうか。なんか水曜5限に代数学の英語でやるゼミがあって, そこで確か「最小分解体」とか「代数閉体の存在と一意性」みたいなことを発表したんですよね。1回生にとってはハードすぎる内容で, 準備とかほんと大変でした・・・。その過程でいろいろと代数学に触れるようになり, 自然に代数学の興味が芽生えてきました。そういうわけで, 2回生の目標としては, 第一には代数的整数論(ノイキルヒとか読むつもり)や可換代数とか代数的トポロジーとかを学習してみたいかなと考えてます。夏休みには黄雪江を読むつもり。ただ自分は本当は「他分野の融合地帯」みたいな数学にも興味があって。解析的整数論とか, 微分ガロア理論とかかな。そういう分野をやれるなら代数以外でもいくらでもやったるワ~, という気持ちなんで, Lebesgue積分とか多様体とか, いまはいろんな数学に触れてみようともしてます。
ま~じでこれは卑しいことやけれども「郷里特色合格者」って肩書きがわたしの心を支えてくれますよ。これがあるから頑張れる気持ちになれる。もっと頑張りてえよ*1
そんでその頑張る気持ちがつい最近は「ガロア祭」に向いてくれたのですよね。このガロア祭当日は(”祭り”ってほどでは無いんですけれども)なんか発展的で特別なテーマで先生が講義をしてくれます。あとは数学にちなんだクイズ大会とか。以下の公式のページに詳細が載ってます。
でね, 私の血が何より騒ぐのはこのガロア祭で事前に出される懸賞問題。「教授が出題したこの問題レポートにして解いてこい!すごかったやつには当日表彰して賞品を出したる」って感じのやつです。
で, 今回私はこの懸賞問題で大賞(最優秀賞)を取りました。
ガロア祭大賞でした(*˘︶˘*).。.:*♡ pic.twitter.com/Ss2SnJwf39
— 림 (@Lim_Rim_) May 31, 2019
確か5/8に問題が発表され, それを5/27までに提出しなければなりませんでした。なんか今年は問題が発表されるタイミングが遅かった気がしますし, たぶん私以外にも多くの人が時間的に余裕が無いなあと感じたかかなと思います。なんですが, 本当に時間内のは承知で, 土曜日も日曜日もこれのレポートを仕上げる作業を15時間ぐらいやって, 興味ない授業の間にもず~~~~っと書いてました。大学数学の進捗はやや犠牲になりますが, かつての学コンBコース民はこういうのに熱中してしまうのがサガなのですよね。ていうかなんか他のみんな面倒くさいからやらな~い(笑)みたいな雰囲気出してたし, マジのほんまもんの本気出したら普通に入賞ぐらいするやろって思ってた。なので今回の結果には超安心しました。そして, 長いガロア祭の呪縛から解放され, すがすがしい気持ちで大学数学を再開することができました。
入賞すると数学書が一冊もらえます。入賞者が6人なので6冊用意されていたのですが, その6冊は 赤雪江, 青雪江, 複素関数入門, 代数入門, 偏微分方程式のなんか, 双曲幾何 でした。赤と代数入門は今更いらないし, 青と複素関数は持ってるし, 偏微分方程式はそんな興味ないので双曲幾何にしました。なんか京大の先生が書いてる本らしいです。幾何やる予定はなかったのだけど, まあ楽しそうなこと書いてあるしいつか読んでみます。
これに加えて特に私の大賞では, 数学セミナー1年分が贈呈されます。わあい よむかわからんけど (確かガロア祭の解答も数学セミナーにのっけるからなんでしょうね)
その頑張って書いたレポートが次のやつです。ぜひ読んでみてください。(ちょっと誤植もあるけど)全部TeXで書いたのでTeXの技術もすごく上達しました。
解いた問題は1番,2番(2)まで, 4番(1)まで, 5番, 6番です。
各問題についててきとーに感想を書きます。
1番
マス目の石を回収する問題。(2)までは瞬殺しました。本音を言うと(3)の考察ネタはあんまり面白いのが思いつかなくて・・・。まあとりあえず3次元に拡張してみました。きっとn次元版でも同様な結論が期待されることと思います。(みんな盤の中でばかり考えていそうだし3次元に拡張した人って少ないんじゃね~?)
2番
カントール集合に関する問題。今回の中で最も大学数学らしい問題。(3)以降は全くわからず。どうやるんだろう。それに, なんか小数展開の一意性の問題をどうすりゃいいんだ, って各所で騒がれていたみたいです。私もそこには悩みましたが, 「これカントールの階段が元ネタやん」って途中で気づいたので, そこから情報を仕入れ, 問題を再構築し, 小数展開の箇所の疑問も解消できる答案に仕上げたつもりです。よくしらんけどこういうのは幾何学の分野なのかな?
3番
ホモトピー群とかの問題・・・?
なにもわからなかったので書くことはありません
4番
通過領域の問題。(1)は有名な問題です。大阪大とかでもあったと思います。(2)も高校数学っぽいのになんか分からなかった。包絡面とかそういうの考えるんだろうな~とは思ったけど, ちょっとやる気が起こりませんでした。(3)では2問ほど一般化的なやつを考えただけ。解決はしてない。まあ作問サークルやし問題考えるくらいはせなな
5番
ガチ考察したやつその1。非線型な漸化式の項がどうなっているかという問題です。(1)の問題は高校数学やるだけという感じ。自由考察では数列を解析的な面で考察しました。なんかいろいろネットで調べてたらこの漸化式は不変量の取れる特別な漸化式だったぽくて。それで不変量をとるとどういう数で評価できるかというのが調べられ, そこから $\log{a_n}$の発散スピードに関する結果を得ることができました。しかし, その不等式評価はそんなに良い結果とは思えません。まだまだ厳しくできる余地があると思います。解答例が楽しみですね。
6番
ガチ考察したやつその2。二項係数を何かで割った余りを見てみるという問題。パスカルの大三角形を$\mathrm{mod} 2$とかで見るとフラクタル的な模様が現れるのは有名な話。二項係数が好きな東京大の問題とかでもそういうのありましたよね。(1),(2)はやるだけ。(3)では素数$p$で一般化してみました。素数$p$に対し, 二項係数は$p$で割り切れるようなものがほとんどである, ということが言えるようです。漸化式で数え上げ的なことができました。そしてその問題を三項係数に拡張することも考えてみました。参考係数, そして多項係数でも, $p$で割り切れるものがほとんどの割合を占めることが言えるようです。なんか補題として与えてる命題が, Lucasの定理の結果の一部だったっぽいです。Kummerの定理に並ぶ定理っぽい感じでしたが, Lucasの定理というものがあるとは知りませんでしたね。
数学セミナーに何書いてあるんでしょうね~~楽しみです
まあガロア祭のおかげでいろいろモチベは上がりましたね。私はまだまだやれます
これからもサークルとか大学数学とかいろいろ頑張っていきますネ~。んで書けそうなネタがあったらここに書かせてもらいます。
*1:他の特色合格者何人か知ってるけどみんな意欲の塊って感じで頑張ってて良いわなあ、特色入試すげえ
Q.172「lim(1+i/n)^n」
Q.172 ☆5 [2018 早稲田(教育)]
$\left(1+ \dfrac{i}{n}\right)^{n}$の実部を$a_{n}$, 虚部を$b_{n}$とする。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_{n}$ と $\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_{n}$ を求めよ。
解答
$a_{n}+b_{n}i$ の絶対値と偏角の極限を見る。
$|1+ \dfrac{i}{n}|^{n}=\left( 1+\dfrac{1}{n^{2}} \right)^{n}$ の極限を求める。
対数を取り, $\dfrac{n^{2}\log{(1+\dfrac{1}{n^{2}})}}{n}\rightarrow 0 $ $ (=\dfrac{1}{\infty})$
よって $ |1+ \dfrac{i}{n}|^{n}\rightarrow 1$
$1+\dfrac{i}{n}$の偏角 を$\theta_{n} $ ($0<\theta_{n}<\dfrac{\pi}{2}$)とすると, $\left( 1+\dfrac{i}{n}\right)^{n}$の偏角は $n\theta_{n}$である。明らかに $\theta_{n}\rightarrow 0$ である。
$\tan{\theta_{n}}=\dfrac{1}{n}$ より
$n\theta_{n}=\dfrac{\theta_{n}}{\tan{\theta_{n}}}\to 1$ (∵ $\theta_{n}\to 0$)
よって, $a_{n}+b_{n}i=|1+\dfrac{i}{n}|^{n}\left(\cos{\theta_{n}} +i\sin{\theta_{n}}\right)$ は絶対値1, 偏角1の複素数に限りなく近づくから
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_{n}=\cos{1}$ , $\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_{n}=\sin{1}$
Q.89 「1≦k≦114514におけるf(k)の最大値」
Q.89 ☆8 [1991JMO予選改題]
自然数に対して定義される関数$f$は,
$f(1)=1$
$f(2n)=f(n)$
$f(2n+1)=f(n)+1$
を満たしている。 $1\le k\le 114514$における$f(k)$の最大値, 及びその時の$k$の値を全て求めよ。
解答
$f(n)$は $ n $を2進表示したときの$1$の桁の個数であることを数学的帰納法により証明する。
仮定より$n=1$はOK. $1\le k\le n$ なる任意の自然数$k$で題意が成り立つとする。
$n+1$ の2進表示を $a_{ m }a_{m - 1}\cdots a_{2}a_{1}$ とする。
$n+1$ が偶数ならば $a_{1}=0$である。よって $\dfrac{n+1}{2}$ の2進表示は$a_{ m }a_{m - 1}\cdots a_{2}$ なので
$n+1$と$\dfrac{n+1}{2}$の2進表示の1の個数は同じである。
$f(n+1)=f\left(\dfrac{n+1}{2}\right)$ だから $k=n+1$ のときにも成り立つと言える。
$n+1$ が奇数ならば, $a_1=1$ なので $n$ の2進表示は $a_{ m }a_{m - 1}\cdots a_{2}0$
$\dfrac{n}{2}$ の2進表示は $a_{ m }a_{m - 1}\cdots a_{2}$ で, 帰納法の仮定より$f\left( \dfrac{n}{2}\right)$ は$\dfrac{n}{2}$の2進表示の1の個数。
明らかに$f\left(\dfrac{n}{2}\right) +1 =f(n+1)$ が成り立っている。
以上より 任意の$ n $に対して成り立つ。
$114514=11011111101010010_{2} $
で,これは17桁であり, $ k $ は $\underbrace{11\cdots 11}_{17} {}_{2} $ 未満なので $f(k) < 17$ である。$f(k)=16$ である$ k $ をすべて求めればよい。
このような$ k $のうち,2進法で16桁なら $k=\underbrace{11\cdots 11}_{16} {}_{2} $ に限り, 10進法で$ 65535 $ である。
$17$桁なら, $\underbrace{11 \cdots 11}_{17} {}_{2} - 1\underbrace{0\cdots 00}_{i} {}_{2} $ ($i=0,1,\cdots, 15$)という数字に限られる。10進法で $131071-2^{i}$ と表される。これが114514以下である$i$は $i=15$に限る。このとき, $ k=114514-32768=98303 $
以上より $k=65535,98303$
コメント
2進法って見抜くのが一番のポイントです。見抜けたら大したもんです。 114514, 適当に選んだわけじゃないんですよね。$131071-2^{14}=114687$ となって$i=14$はかなりギリギリで排除されるんです。
Q.227 「学コン(自作) y=mx^2+px+q^n」
Q.227 ☆8
5月頃に大数に投下した自作問題で9月学コンの3番に掲載させていただいたものです。
解答(pdf) : https://drive.google.com/file/d/1X4TlCPrDrsUAu_po4RhN3GBfIjbjvnen/view?usp=drivesdk
自作Q.18 「極限的極限」
$\displaystyle\lim_{x\to\pi}\left( \dfrac{2}{1+\cos{\left( x^{\sin{x}}-1 \right)} }\right)^{\frac{1}{\left(x-\pi \right)^{2}}}$ を求めよ。
自作Q.48 「京大プレ改題」
$p,q,r$は素数, $p\le q\le r$, $n\in\mathbb{N}$ $p^{n}+r^{n+1}=q^{n+2}$
(解答)
偶奇性より$p,q,r$の中に2がある。よって $p=2$
$2q^{n+1}\le q^{n+2} = 2^{n}+r^{n+1} < 2\times r^{n+1}$ より$q<r$ なので $r$ は奇素数。式の偶奇性を見て $q$ も奇素数になる。よって$p=2<q<r$
$n$を偶数とする。($n=2k$)
$2<q<r$ よりr≠3であるが, $q\ge 5$とすると $r^{n+1}\equiv q^{n+2}-2^{n}\equiv 1-1\equiv 0 $(mod 3) (∵$n,n+2$が偶数) から$r=3$となって矛盾
よって$q=3$
$r^{n+1}=(3^{k+1}-2^{k})(3^{k+1}+2^{k})$
右辺の2因数は互いに素だから $3^{k+1}-2^{k}=1$の場合しかない。しかし $3^{k+1}-2^{k}>2^{k+1}-2^{k}=2^{k}>1$より不適
$n$奇数のとき… $r^{n+1}+2^{n}=q^{n+2}$
$3<r$と$n$奇数より 左辺≡1+2≡0(mod3)だから $q=3$ $5^{n+1}\le r^{n+1}=3^{n+2}-2^{n}$ より $0<3^{n+2}-5^{n+1}$ これは$n\ge 3$では成り立たない $n=1$として$r^{2}=27-2=25$より $r=5$
以上より$(p,q,r,n)=(2,3,5,1)$
Q.91 「limKA=0」
$t=\dfrac{3}{4}$ の場合だけ漸化式の解き方が違うので注意です。