2018年度 京大理学部特色入試 受験記

こんにちは。リムリムです。

私事なのですが 京大理学部特色入試に合格しました。 (追記: 最終合格いたしました!)ツイッターというもので合格報告ツイートを流したわけですが、リプ、RT、いいねが尋常じゃないほど来ました。フォロワーが100人増えました。いやぁヤバイねぇ。「どちゃ楽」とかでエゴサすんのが楽しいったらありゃしない。お祝いのツイートやリプをして下さった方、RTやいいねをして下さった方、本当にありがとうございます。

追記: 特色入試の開示が届きました https://twitter.com/Lim_Rim_/status/993512744040128513?s=19

今回の記事ではその体験記を書いていこうかなと思います。バカみてぇに長くて単調ですが、これから特色入試を受ける方の参考になってくれるかな…と願いながら。(やや数学の問題についてのネタバレを含めて話させてもらいます。)

数学試験について

  • 大問4つで各20点の80点満点
  • 試験時間は4時間
  • 大問ごとにオレンジ色の解答冊子が配られ、その解答冊子に計算用紙は約5ページ分、解答用紙は2ページ分ある
  • 長いので飲み物を用意しても良い

が試験の特徴です。(しかし飲み物飲んでる余裕はなかったです。)解答用紙は2ページ分とのことですが、計算を省くなどすればこのスペースが足りないということはほとんど無いです。(まあ足りなければ計算用紙に続けることもできますが)

私は親と車で京大に向かっていたのですが、予定通りに着くと思いきや渋滞に巻き込まれてしまい、集合時刻に15分遅れてきました。(試験開始には間に合ってます)すごく不安でした。何とか到着し、試験会場には私以外みんな集まっていましたね。あのとき会場におられた皆様、あの遅刻した人が私です。よろしくお願いします。数学の解いているときの感想はどちゃ楽botでも一度呟いてきたので、良ければそちらもどうぞ。→ https://twitter.com/so_easy_math/status/931759511420813312

ツイッターでまわりから聞いて判断すると、今年の問題は易しい順に 2,1,4,3 と思われます。やはり後半に難しいものが集中する傾向があるようです。また,毎年2が最も易しく,1は計算がキツい傾向もある気がしますね。後半にも一応誘導はつくと思うので,せめて(1)などで稼いでおくともっと安心です。4(1)が今回は稼ぎポイントで,差がついた箇所でもあるんじゃないでしょうか。

全体的な難易度としては,初年度よりは易化,去年よりはそこそこ難化だと思います。それに誘導ですら難しいものが増えており、稼ぎポイントも減ってるので、平均点はかなり下がる気がします。去年の合格最低点が口頭試問を含めて 56点 だったそうなので、今度は44〜46あたりが最低点かなと予想。

自己採点で予想で点数を出してみました。

1番 17/20, 2番 8/20, 3番 2/20, 4番 12/20, 合計 39/80

まあ約2完といったところ…かなあ…。

1番はほぼ完答の自信があるとおもいきや、中点連結定理のあとに出した式で2倍したほうが逆になっており、本当の答えの1/4倍が出てしまいました。それに,αの存在性もベクトルが独立かで場合分けが必要になり,一次従属の場合で勘違いを起こしました。("凸五角形"の条件ってすごい微妙なところで使われるっぽいです)かなり軽微なミスだとは思うので、減点は少ないはず。ちなみになんですが,この1番みたいに何回も分点を取ってベクトルを作っていく感じの問題を,実は11月の学力コンテスト (大数)で見ていたので「マジか」って驚きました。大数マジセンキュー。

2番は良いアイデアは思いついたのに、勘違いを複数起こしてしまったのが痛かった。それでも、ちょっといじれば軌道修正はできるミスだったので多少はあるかなと信じてます。

3番は全滅です。それに時間もかなり取られました。条件処理が複雑で頭が混乱してしまいました。ちょっとは何か正答に至りそうなことを書いたと思うのでその分の2点。でもわりとみんな出来ていないようで安心。でも,(1)さえできたら(2)も取れただろうなぁと思います。だからあれは隠された難易度高めの稼ぎポイントなんです。

4番は得意の整数だったものの,(1)止まり。しかし(1)から法則性を得たため,それを(2)に応用し,あと少し思ったことを適当に書いて終了。(2)の応用ができたのでやや高めに出ると予想しました。あとで(2)の解答を考えましたが,とんでもなく難しく,美しい問題でした。

去年の誰かの開示を見る限りは、2完+α ぐらいしておくと合格のチャンスがかなりあったと思います。今年はおそらく 1.5完+αがボーダーかなと。1,2が半分,4(1)完答ってのが丁度良い感じかも。ただ、1と2は問題の質がかなり違っていて、両方である程度の得点を出したバランスの良い人はかなり少ないんではと思います。(1番がかなり受験数学らしい問題なのに対し,2番が受験数学では全然見かけないタイプの問題だからです。むしろ2番は競技数学の得意な人は取りやすい感じだと思います。)

口頭試問について

口頭試問は受験番号の早い順に午前の部と午後の部に分かれています。私はたしか午前の部の6番目ぐらいでした。

今年は1次の書類選考が全員通過で57人。数学の試験で15人に絞られ、口頭試問で5人に絞られます。すなわち倍率は11.4倍。狭き門の茨の道であります。数学試験の合格はその日の夜10時に分かる予定ですが、あちらが早く終わり次第は8時とかに公開されます。京大から唐突にメールがやってくるんで、10時だと思ってるとすごくビビります。

さて、何とか口頭試問に進まれた方はおめでたいです。「なんとか…通りました(笑)」などとツイートでもしてお祝いされておきましょう。ですが前日にやっておきたいことはツイッターなんかより 数学試験の復習 です。たとえば

  • 分からなかった問題をもう一度解いてみる
  • 問題の条件を一部変えてみる
  • 作問の背景を考えてみる
  • 自分の解答の誤りを見つける
  • 自分の解答の評価をして大体の点数を予想してみる

などですかね。口頭試問でこれらが聞かれる可能性があります。すべて解けた、が理想的ですが、睡眠時間を削るまでの無理はしないでおきましょう。(とかいいつつ私は深夜3時までやってた)

口頭試問は100点のうちの20点です。だから数学試験に比べれば差は生みにくいです。ただ、もし5位付近に同じぐらいの点数の人が集中すると、もうあとは戦争でしかありません。ゆえに軽視は必ずしもできませんから、口頭試問でも稼ぎましょう。もう気に入ってもらえるアピールをすりゃいいのです。

面接形式は 自分 V.S. 教授5人 これだけ聞くと恐ろしそうですが、雰囲気としてはすごく緩かったです。 教授さんは優しいので、気を抜きすぎない程度に臨んでいればいいでしょう。なお,自分の座る場所には机が用意されており、その机に試験問題の紙が置いてあります。だから問題について聞かれるのは間違いありません。また、後ろには黒板がありますので、適宜黒板に書いて説明しても良いです。次に、私が口頭試問で聞かれた内容を教えます。

  • 志望動機

絶対聞かれます。まあ書類で書いたことと同じやつを言えばよいでしょう。

  • 数学試験の出来応え

「何割ほど取れたと思いますか」という感じで聞かれました。

  • 2番で放物線の条件を双曲線 $xy=1$ にするとどうなるか。また,円の半径をもっと小さくするとどうなるか。

これは、実はめちゃくちゃ難しい質問でした。私はてっきり放物線と同じ結果(かならず交わるような$m,n$が存在する)になるのかと思い黒板で解くための方針(詳しい計算はその場でやろうとしなかった)を説明して、「円の半径がもっと小さくても交わる」と思って黒板で説明してましたが、たぶん間違いです。本当はあまりに小さいと交点を持たないことがあったりする感じがしました。(つっても別に何も計算してないんですけどね。よかったら誰か調べてみてください)緊張している中でこの問題に対してすぐに正答が得られるようなら本当に凄い人ですよ。それがなかなか難しいですから、少なくとも黒板で人に説明する姿を見せつけるほうがいいです。

  • 3番はあまり出来ていなかったが、復習で何か分かったことはないか

よりによって3番…。実は一晩考えても3番だけは全く分からなかったのです。しかし、3番のガウス記号の条件が「2進表示において桁を下から切り捨てる」ことに対応しているのを発見していたので、結局問題は解けなかったが、そこだけは発見した、と答えました。教授の方は「いいねぇ」って感じで頷いてくれました。

  • 1番の出来について

1番は前日に自分のミスを2つ見つけているので、その箇所を正直に伝えました。すでに自分の解答は見られておりますから、「そのミスに自分で気付いているか」みたいなところが聞かれるのではと思いました。

これ以外にも「物理や化学はどのように学んだか」や「数論や代数の他に興味のある分野はないか」などが聞かれます。4番については聞かれなかったです…。一応夜中考えて(2)も解けてたのになぁ…。また、自分の書いた書類に沿ったことが聞かれるので、書類のコピーは絶対に残しましょう。

数学の対策に用いたもの

とりあえず「重い問題」をやって粘る力をつけましょう。5〜10分で解けるようなものを沢山やっても仕方ありません。実際に私が使ったものは

  • Z会本科 京大理系数学演習

一般入試対策用ですが、程々の問題が揃ってますのでウォーミングアップぐらいに使いました

今年,学コンはBコースで毎月出していました。宿題は解けるときだけ出しました。それ以外にも、知り合いから古い大数を貰い,解けそうな学コンは気ままに解いてました。

  • 特色サンプル問題,特色過去問

京大のサイトかどっかで手に入ります。少ないので有効に活用しましょう。正直、サンプル問題のほうが難しいです。

  • 東大実戦

ツイッターで拾ってやってました。ここらへんの問題の重さはなかなか丁度いいです。

  • 数オリの過去問

JMO本選, IMOから適当に拾ってやってました。IMOはProblem 1.とProblem 4.がまだ易し目なので、それを解いてました。shortlistなども拾ってくるといいかもしれません。(まあ難易度は当然ヤバいですが)

こんなところです。過去に組み合わせ論も出たことがありますので「組み合わせ論の精選」なども読んでみると良いかもしれません。受験数学と競技数学はなかなか問題の質が違いますが、両方とも鍛えるとすごく強みになると思います!

晴れて5人に選ばれればあとはセンターのみです。センター試験の受験票についてくる「大学入試センター試験成績請求表」を忘れずに期日までに出しましょう!(私はこれを少しの間だけ忘却してました。絶対に絶対に気を付けてください!)

センターを残している状態で慢心しすぎると最悪の悲劇が起こります。センター試験までには早寝早起き、健康管理、日々の勉強をできるだけ徹底しましょう!試験中もマークミスなどないように絶対に集中しましょう!あの特色を通ったのならなんのこれしきですよね!?

理学部はやけに良心的でして,センター試験7割 取っていれば見事に最終合格になります!憧れの「京大生」になっちゃいましょう。その準備に大学の勉強を開始するのもよし。家探しするのもよし。センターが終わると、他の受験生の方々には申し訳ないほど「自由」になってしまうものです……。私は数学と昼寝みたいな生活でした(笑)

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。これから特色入試を受ける方も、そうでない方も、吉報のあらんことを。

ではでは。