リムリム自作 Q.53 「(1+2+…+2n)/(2+4+…+2p)=p」

Q.53 ☆5 [DMO4th 文3]

正の整数$n$,素数$p$の組であって

$\dfrac{1+2+3+\cdots +2n}{2+4+6+\cdots 2p} =p$

を満たすようなものをすべて求めよ。

解答

$1+2+3+\cdots +2n=\dfrac{2n(2n+1)}{2}=n(2n+1)$

$2+4+6+\cdots +2p=2(1+2+3+\cdots +p)=2\cdot\dfrac{p(p+1)}{2}=p(p+1)$ より,与えられた式は

$n(2n+1)=p^{2}(p+1)$ と変形される。

右辺は $p^{2}$ の倍数であり,$n$と$2n+1$は互いに素であることと,$p$は素数であることから,$n$と$2n+1$のいずれか一方が$p^{2}$の倍数である。

$n$が$p$の倍数ならば $n\ge p^{2}$, $2n+1$が$p$の倍数ならば $2n+1\ge p^{2}$なので,いずれの場合であっても $n\ge \dfrac{p^{2}-1}{2}$ が言える。 この不等式から,

$n(2n+1)\ge\dfrac{p^{2} -1}{2}\left(2\cdot\dfrac{p^{2} -1}{2}+1\right)=\dfrac{p^{2}(p^{2}-1)}{2}$ を得るので

$p^{2}(p+1)\ge \dfrac{p^{2}(p^{2}-1)}{2}$ を満たす必要がある。両辺を$p^{2}(p+1)$($>0$)で割って整理すると

$\Leftrightarrow 1\ge \dfrac{p-1}{2}$ より $p=2,3$が必要条件。

元の式に代入すれば $p=2$では$n$が存在せず, $p=3$では$n=4$ であると分かる。以上より $(n,p)=(4,3)$

コメント

自作模試の文系版で出した1問でした。ところで,これを出題した頃, $n(2n+1)=p^{2}(p+1)$ の式を見て,両辺の因数の大小を見てすぐに $n=p+1, 2n+1=p^{2}$ と決める人が非常に多かったのですが、どうでしょうか。$p+1$が素数とは限りませんから,$p+1=ab$と表されるとして $n=a, 2n+1=bp^{2}$ などの場合も考えなくてはなりませんので,ただ比較するだけでは処理が不十分というわけです。しかし本当にそのように処理して解くのは難しいですから,倍数条件を利用した不等式評価で攻め込むという問題でした。また,仮に$p$が素数でなかったとすると 「$n$と$2n+1$のいずれか一方が$p^{2}$の倍数である」は成り立ちません。$p$の素因数を2つのグループに(両グループが互いに素になるように)分けて,それらが$n$や$2n+1$の素因数になっている場合も考えられるわけですので。