2018年度 京大特色 第4問(2)
2018年度 京大特色 第4問(2)の解答です。
問題
自然数とは互いに素で,を満たすとする。項からなる数列 が次の3条件(イ),(ロ),(ハ)を満たすとき,性質を持つということにする。
(イ) はすべて整数。
(ロ)
(ハ) を で定めたとき,以下のすべての自然数に対して は で割り切れる。
(1) かつの場合を考える。性質を持つ数列をすべて求めよ。
(2) 数列 が性質を持つとする。 であることを示せ。
まさに(1)で実験をして(2)に持っていくというスタイルです。(ですが(1)の解答は省略します。)
解答
正の整数 に対して, ならば となるように定めてもよい。 であれば, 条件(ロ)より 不等式 が成立し, 条件(ハ)より であるため,
が成立する。同様に, であるときは,不等式
が成り立ち,さらに であるから, が成立する。正の整数 に対して, を と置く。
この際, ならば であることに注意する。
を用いて数列 の階差をとるように引くと $$ 2b_{m}-b_{m+k} = \left\{ \begin{array}{} 0 & (1\leq m\leq n, m\neq n-k)\\ 2^{n}-1 & (m=n-k) \end{array} \right.\tag{3} $$
という式を得る。のとき, が互いに素であることから, ある を満たす整数であって, を満たすものがただ一つ存在する。また,のときは であるから, と定める。このような $r$ を用いて$(3)$は
${}$ $$ 2b_{m}-b_{m+k} = 2b_{(r-1)k}-b_{rk}= \left\{ \begin{array}{} 0 & (2\leq r\leq n-1)\\ 2^{n}-1 & (r=n) \end{array} \right.\tag{4} $$
と同値である。$(4)$ で $r=2,3,\cdots n-1$ の場合, $b_{rk}=2b_{(r-1)k}$ となり, 右辺に更に式を適用させることで
$b_{rk}=2b_{(r-1)k}=4b_{(r-2)k}= \cdots =2^{r-1}b_k$
を得る。この結果との場合の式から を得る。これらの式を について足せば
となり, 両辺に を加えて整理することで
となる。 は互いに素であることより 数列 は 数列 のある置換になっているので
以上より となるから, (証明終)
コメント
分野的には整数問題ですが,京大などの一般入試の整数と比べても非常に難しい。n,kが互いに素という条件の扱い方が特に。どちゃ楽評価は☆10ぐらいでしょうか。ですが結果はとても美しく,「整数論の本気」と表現したくなるぐらいです。京大特色、恐るべし……… あとはてなブログのtexクソ使いにくい…挫折しそう…