どちゃ楽 Q.184

Q.184

(1) 方程式 $x^{3}+3x^{2}-(k-7)x+k-11=0$ はちょうど2つの実数解を持つ。実数 $k$ の値を求めよ。

☆2 [2017東京電機大]

(2) 点$(a,-9)$を通る曲線 $y=x^{4}-6x^{2}$ の接線が2本あるとき,$a$ の値を求めよ。 ☆7 [学コン 2017-5-4 (1)]

この問題のツイート: https://twitter.com/so_easy_math/status/943237992126091264

解答(1)

$x^{3}+3x^{2}-(k-7)x+k-11=(x-1)(x^{2}+4x+11-k)$ より,$k$によらず $x=1$ は実数解である。

与えられた方程式がちょうど2つの実数解を持つとき,方程式$x^{2}+4x+11-k=0$ が 1でない重解を持つ場合と,1と1以外の実数解に持つ場合がある。

重解を持つ場合は,判別式を見ることで $k=7$ と分かり,このときの重解は$-2$であるから,与方程式の実数解は$1$と$-2$になるのでよい。

$1$を実数解に持つ場合, $1^{2}+4\cdot 1+11-k=0$ より $k=16$ となり,1以外の実数解は$-5$だから,与方程式の実数解は$1$と$-5$の2つになるのでよい。

よって $k=7,16$

解答(2)

$y=x^{4}-6x^{2} \Rightarrow y'=4x^{3}-12x$ より, 曲線 $y=x^{4}-6x^{2}$ の点 $(t, t^{4}-6t^{2})$ における接線の式は

$y=(4t^{3}-12t)(x-t) + t^{4}-6t^{2}$

整理して

$y=(4t^{3}-12t)x - 3t^{4}+6t^{2}$

となる。この接線を$L_{t}$と呼ぶことにする。

ここで,異なる実数$p,q$ ($p>q$)であって $L_{p}=L_{q}$となることがあるかを調べる。すなわち,複接線の存在を調べる。$L_{p}=L_{q}$ は

$4p^{3}-12p= 4q^{3}-12q$ かつ $-3p^{4}+6p^{2}= -3q^{4}+6q^{2}$ が成り立つことと同値である。$p-q\neq 0$ に注意して

$4p^{3}-12p=4q^{3}-12q \Leftrightarrow (p-q)(p^{2}+pq+q^{2})=3(p-q)$

$\Leftrightarrow p^{2}+pq+q^{2}=3$ …$(1)$

$-3p^{4}+6p^{2}=-3q^{4}+6q^{2}\Leftrightarrow (q^{2}-p^{2})(q^{2}+p^{2})=2(q^{2}-p^{2})$ …$(2)$

を得る。

$q^{2}-p^{2}\neq 0$ と仮定する。 $(2)$にて $p^{2}+q^{2}=2$ となり,$(1)$ に代入すれば $pq=1$ となる。これと $p^{2}+q^{2}=(p+q)^{2}-2pq=2$ より整理すれば $p+q=\pm 2$ を得る。

$p,q$は $x$の方程式 $x^{2}-(p+q)x+pq=0$ の実数解であるが,判別式を見ると $(\pm 2)^{2} -4 =0$ となり,重解を持つことになるために $p=q$となる。これは$p,q$が異なることに矛盾するので不適。すなわち $q^{2}-p^{2}\neq 0$ かつ$L_{p}=L_{q}$ なる 異なる$p,q$は存在しない。

$q^{2}-p^{2}=0$ のとき,$(2)$ は両辺が0になるために成立し,$p,q$は異なるから $p=-q\neq 0$ である。これを$(1)$に代入して $p^{2}=3$ となるから,$p>q$ より $p=\sqrt{3}$, $q=-\sqrt{3}$ となる。

よって,複接線は $L_{\sqrt{3}}=L_{-\sqrt{3}}$ に限られる。

$L_{t}$: $y=(4t^{3}-12t)x - 3t^{4}+6t^{2}$ が点$(a,-9)$ を通ることから,

$-9=(4t^{3}-12t)a - 3t^{4}+6t^{2}$

$\Leftrightarrow (t^{2}-3)(3t^{2}+4at+3)=0$

を満たすような実数$t$に対して,異なる$L_{t}$が2つだけであるような実数$a$を定めればよい。

まず,$t=\pm \sqrt{3}$ である。

( 直線$L_{\sqrt{3}}$ ($L_{-\sqrt{3}}$) は 直線 $y=-9$ であり,$a$の値によらず 点$(a,-9)$を通るので これが1本目の接線である。)

次に,通る接線が2本だけならば $3t^{2}+4at+3=0$ という$t$の方程式が $\pm\sqrt{3}$ではない重解を持っているか, 相異なる2つの実数解を持ち,一方は$\pm\sqrt{3}$に等しく,もう一方は $\mp\sqrt{3}$ でない の2パターンがある。

前者では,重解を持つことから方程式の判別式を見て $a=\pm\dfrac{3}{2}$ となり,その重解の値は$t=\mp 1$ となるからよい。(複号同順)

後者では,$\pm\sqrt{3}$ が実数解になっていることから方程式に代入して $a=\mp\sqrt{3}$ を得る。このときのもう一方の解は $t=\pm\dfrac{1}{\sqrt{3}}$ であるからよい。

以上より,

$a=\dfrac{3}{2}$ のとき $t=\pm\sqrt{3}, -1$

$a=-\dfrac{3}{2}$ のとき $t=\pm\sqrt{3}, 1$

$a=\sqrt{3}$ のとき $t=\pm\sqrt{3}, -\dfrac{1}{\sqrt{3}}$

$a=-\sqrt{3}$ のとき $t=\pm\sqrt{3}, \dfrac{1}{\sqrt{3}}$

が,方程式 $(t^{2}-3)(3t^{2}+4at+3)=0$ の解になっており,これらの$a$に限り, 各$t$ に対応する$L_{t}$の種類を数え上げると($L_{\sqrt{3}}=L_{-\sqrt{3}}$ に注意して) 2種類だけになるので,条件を満たす。

以上より,$a=\pm\dfrac{3}{2}, \pm\sqrt{3}$

コメント

接線の本数と実数解の個数は必ずしも一致しないってわけですね〜〜。問題(1)を置いた理由は,(2)の終盤に似たようなことを考えるからでした。なかなかの難問です!