どちゃ楽 Q.7 「正約数の個数と7番目の正約数は12」

Q.7 ☆4 [東工大 2017]

次の条件( ⅰ ), ( ⅱ )をともに満たす正の整数$N$をすべて求めよ。

( ⅰ )$N$の正の約数は12個

( ⅱ )$N$の正の約数を小さい順から並べたとき,7番目の数は12

この問題のツイート: https://twitter.com/so_easy_math/status/935023864706244608

ポイント

2つの条件。$N$ が絞りやすいのはどちらなのだろうか?方針はすぐに決めてしまいたい。

解答

$N$の正の約数を小さい順に $d_{1},d_{2},\cdots,d_{12} $とする。条件( ii ) より$d_{7}=12$ であり,$N$は12の倍数である一般に,$d$が正の整数$n$の正の約数ならば,$\frac{n}{d}$も$n$の正の約数である。よって

$\frac{N}{d_{1}},\frac{N}{d_{2}},\cdots,\frac{N}{d_{12}} $

は$N$の正の約数で,この順番で大きい順になっていることから,この中で右から6番目のものが$d_{6}$に等しく,$d_{6}=\frac{N}{d_{7}}=\frac{N}{12}$ を得る。

$d_{6}\lt d_{7}$ であるから,$\frac{N}{12}\lt 12$ より $N\lt 144$

さらに,$1=d_{1}\lt d_{2}\lt\cdots\lt d_{6}$ より $6\le d_{6}$ であるから,$6\le \frac{N}{12}$ より $72\le N$

以上から$N$は $72\le N\lt 144$ を満たす12の倍数であることが必要条件であるから,$N=72, 84, 96, 108, 120,132$ が必要条件。

このうち,72は( ii )を満たさず,120は( i ),( ii )を満たさない。それ以外は条件を満たしている。よって,$N=84,96,108,132$

コメント

整数問題は,解が多いほど場合分けも多くなるものです。私の解答では,条件( i )の「12個ある」をそれ以上でもそれ以下でもなく数式化し,条件( ii )の不等式評価で大きく絞りました。最後は虱潰しで突破しましたが,せいぜい6個なのでまだ楽な方です。一方,某予備校のこの問題の解答速報は,条件( i )から素因数の指数がどうあるべきか,そして( ii )から5,6番目の約数はどうなっているかに注目し場合分けを行っていました。しかし,場合分けはやや複雑だったかも。いずれにせよ解ければ1完です。ですが一つ, 整数問題で不等式評価は重要であることは肝に銘じておいたほうがよいと思います。